国際スキー連盟(FIS)のオータムミーティングがスイスのチューリッヒで5日行われ、アルペンスキーの複合種目のルールが変更となりました。この記事ではこれについてちょっと書いてみます。
目次
アルペン複合のルールはどう変わったか?
どこが変更されたかというと、
新しいルール:1本目の高速系で1位の選手が2本目1番スタートしていく方式
となりました。
これに対し、40代でトップレベルで戦うアルペン界のレジェンド、フランスのジュリアン・リゼルーがツイッターで不服をつぶやいてます。
Wouhaouuuuu, thanks @fisalpine for this « huge » step forward!!! 🤕🤐🤯🤢#MakeOurSportGreatAgain#PureJoke pic.twitter.com/GwA1ciGYKj
— Julien Lizeroux (@JulienLizeroux) October 7, 2019
また、今回の会議で2023年の最終戦が昨シーズン(2018−2019)の最終戦会場となったアンドラ公国のソルデユとなったことも決定しました。
今回のアルペン複合のスタート変更は大きな波紋を呼びそうですが、実力を考えれば妥当ではないかと個人的に思っています。(高速系専門の選手はどうしてもSLで不利になってますからね)
逆にSL・DH(またはスーパーG)両方で勝てるオールラウンダーの選手にとっては悪いニュースになっているといった状況ではないかと思います。
ただ、個人的に今後この流れがそろそろSLやGSにも移行していくのではないかと最近思っています。
技術系種目のスタート順もそろそろ変更して良い頃。ヒルシャーがいないW杯に新しいムーブメントを起こすには?
マルセル・ヒルシャーが引退し、ワールドカップにポッカリと穴が空いた感じもする今日この頃ですが、まもなく2019−2020のアルペンスキーワールドカップが今月末に始まります。
90年代までは1本目15番の選手が2本目1番スタートいう方式でスター選手を生み出しやすい状況がありましたが、2000年以降に1本目30番の選手が2本目1番スタートいう方式を採用し、現在に至ります。
ですが、2014年には実験的に1ランク下のヨーロッパカップで3本制のSL・GSを開催しました。
アルペンスキーGS・SL3本制ルールとは?
2本目(準決勝):1本目上位30人のみが滑る。2本目と3本目は同じポールセットで、秒数にしてSlは20秒〜30秒ほどの短距離走。これによってタイム差が一気に縮み、30人全員に優勝するチャンスが与えられる。スタート順は1本目トップの人からになる。
3本目(決勝):2本目上位15人で行われる。しかも、2本目が終わってすぐに同じポールセットで開始。スタートは2本目15位の選手が1番スタートで、2本目トップの人が15番目に滑る80、90年代のワールドカップ方式になる。完走すればタイム差に関係なく順位が付くことになっている。
*競技の時間(目安)
SL:30秒程度
GS:50秒程度
こんな感じです。
今後、FISはパラレルGSにも力を入れていくようなので、よりスリリングなスタート方式にし、視聴率やマーケット拡大を目指す方向にシフトしていくのは時間の問題かと思います。
ただ、今回の高速系種目のように1本目1位の選手が2本目の1番スタートというのはあくまでも複合のみに適用かと思います。これを応用し、SLやGSでは好きなゼッケンを2本目選択できるようにするといったことも可能かと思いますし、3本制ルールを本格的にW杯で取り入れるということも十分有り得る話です。
実際、日本人選手も出ていますし、国籍関係なく勝たせるには3本制ルールは有りでしょう。ただ、これを今だにやらないのはヨーロッパ勢の厚い壁?があるのかわかりませんが、欧州選手が勝ちにくいという状況が発生するデメリットもあります。
アルペンスキーはヨーロッパ人のもの?という認識があるかわかりませんが、ゼロではないでしょう。事実、スキー産業は欧州各国をも動かす重要な部門であり、白いサーカス(アルペンスキーW杯)はヨーロッパのスキーリゾートを紹介する重要な宣伝ツールでもあります。
日本からは湯沢が今頑張っていますが、W杯会場=トップスキーリゾートという方程式があるので、地方自治体が世界に売り込んでいく重要なイベントでもあります。
SL・GSのスタートルール変更が果たして来るのか。高速系種目も数年前に変わってますから、いつ技術系種目は変更されても不思議ではない状況かなと思います。
追伸:1本目1位の選手が2本目1番スタートになるルールが技術系種目に適用されたらどうなるか?
100歩譲って今回の「1本目1位の選手が2本目1番スタート」が技術系種目でも行なった場合、スター選手を生み出しやすい状況も作れるのかなと感じました。強い選手はより有利な条件で戦えるので、勝つ確率が増すでしょう。女子ではシフリンがステンマルクの記録を3、4年で上回ることもほぼ確実ではないかと言われてるので、選手格差は80年代並みに広がるのかもしれません。