今回の記事は
1.キッツビューエル男子滑降に関するニュース
2.キッツビューエル男子スラロームスタートリスト
3.レッドブル、キッツビューエルのコースをF1で走り罰金
の3本立てでお送りします。
目次
アルペンスキーワールドカップ男子滑降第6戦は波乱の展開に
アルペンスキーワールドカップ男子滑降第6戦はオーストリアのキッツビューエルで行なわれ、波乱の展開となりました。優勝は2008年以来となるイタリアのペーターフィルでした。しかし、30人を終了した段階で視界不良でレースが中止となり、何とも後味の悪いレース展開となりました。
自然の中で行なわれるスポーツですので、選手の安全が第1です。ですが、もうちょっと天気が持ってくればまた違った結果になっていたかもしれません。
*リザルトはこちら
映像で2人の転倒シーンを見比べて検証してみる。
このレースでアクセル・ルンド・スビンダル(ノルウェー)が転倒し今季終了。ハンネス・ライヒェルト(オーストリア)も転倒し、何とか無事でしたが、2人共同じような箇所で転倒しています。
スビンダルの転倒映像。靭帯断裂で今季終了。
スビンダルは十字靭帯断裂で手術とのニュースが出ており、今季終了となりました。好調なシーズンだっただけに、非常に残念です。1日も早い回復を祈るばかりです。
*スビンダルの病院内での写真はこちら
ライヒェルトの転倒映像
コースに一部問題があった可能性がある。
実はよく映像を見ると2人共ほとんど同じ転倒の仕方をしています。ライン取りもほぼ一緒だったせいでしょう。前のめりで上半身が前に飛び出るような転倒の仕方をしています。記事上部のスクリーンショット(写真)が3人の転倒シーンを見比べたものですが、スビンダルとライヒェルトが同じような状況になっていることがよくわかるかと思います。
ゲオルグ・シュトレイトベルガーも同じ箇所で転倒していますが、彼の場合は明らかに後傾姿勢で転倒しており、これは高速系に関わらず技術系でもよく見られる転倒です。スビンダルは転倒寸前に内脚が先行して内倒でバランスを崩しているので、このような結果になっても致し方ないと思ったのですが、気になるのが
「ライヒェルト」
です。
彼はジャンプしたあと、しっかりと外足に乗って、腰高で左ターンに入ってますが、やはり彼も前のめりになって転倒しています。通常、デコボコの斜面でもしっかりと腰高に乗ればスピードが出ていても問題なくターンしていけるのですが、ライヒェルトだけはちょっと違います。原因として考えられるのは
1.コース上の突起のような部分に引っかかり、結果的にシビンダルと同じような体勢になって転倒しまった。(記事上部の写真参照)
2.コースに雪がつかないので、人工雪を使った。結果、スビンダルのような体勢になった。
という可能性が考えられます。
人工雪を経験したことがある人はわかるかと思いますが、ちょっと引っかかる感じがします。これはあくまでも推測ですが、自然な雪を滑っていた後に、わずかな部分に人工雪を使用しているのであれば、スキーは当然急ブレーキをするような感覚になり、体重が前に持っていかれるはずです。
着地後の雪は自然雪なのか、人工雪なのか、それとも混ざっているのかわかりませんが、ライヒェルトの動きはちょっと不自然な感じに見受けられます。国際スキー連盟は雪不足対策で世界各国で人工雪を使用するのが当たり前になってますから、今後ワールドカップ並びにスキーレースを開催する主催者は十分注意しないといけないかもしれません。
キッツビューエルはクラシックレースの1つであり、ここで勝つことがオリンピックの金メダルよりも価値があるとも言われます。それだけ難易度が高いわけですが、コース自体は昔から変わっていません。跳ねるようなゲレンデで、テカテカのアイスバーンです。スケートリンクのようなコースを100キロ以上滑るので、スピード系の技術だけでなく、総合的な能力が試されるのがこのコースの特徴です。ただ、きちんと腰高で外足に乗ってターンしていってもスビンダルのような体勢になることはコース上に小さな引っかかり、または人工雪があったとしか思えません。
一瞬でもポジションがズレるとコースの餌食になることは有名ですが、今後温暖化などが進み、雪不足などになればガタガタになる部分も出てくると思いますから、コースの品質に最大限の注意を払ってほしいなと思います。
おそらく国際スキー連盟は今回の事故を受け、検証をするものと思われますが、伝統コースなので特に変更することはないかと思います。ただ、今問題となっているエアバックなどもそうですが、ジャンプ後のコース上の障害物を取り除くなど何らかの安全対策はできる限りしてほしいなという思いもあります。
今日、日本勢登場。スタートリストはこちら
キッツビューエルの男子回転が24日行なわれます。スタートリストもすでに発表されており、日本勢は
湯浅直樹選手34番
石井智也選手49番
成田秀将選手58番
となっています。
*男子SL1本目スタートリストはこちら
レッドブル、キッツビューエルのコースをF1で走らせ罰金払う・・・
photo credit: Sebastian Vettel via photopin (license)
すでに下記の映像を見た方も多いかと思いますが、アルペンスキー伝統のクラシックレース会場であるキッツビューエルにてF1を走らせるという「レッドブル」ならではの企画、プロモーションをインターネット上で行ないました。しかし、
「自然破壊」
と見なされ、レッドブル側もこの罰金問題を素直に認めています。罰金の金額は日本円で382万円。10代のF1ドライバー、フェルスタッペンがキッツビューエルをF1で走るというものですが、どうも公道以外で走らせたこと、しかもF1カー走らせ、なおかつ環境のこともあり当局が動いたようです。承認を得れば問題なかったのでしょうが、どうも企画の方が先に先行してこのような問題に発展したのかもしれません。
キッツビューエルとレッドブルの関係はレッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのかにも書かれているので、詳しくはこちらの本を読んでほしいのですが、F1にしろ、スビンダルにしろ、レッドブルゲート通過後での事故も重なり、随分よくできた偶然だなと思ってしまいます・・・。
レッドブルはいろんな意味でマイナースポーツをプロ化させるなど、あらゆるスポーツシーンに多大な影響力を持って発展もさせているので、個人的には期待している企業の1つです。派手なプロモーションで有名ですが、プロモーションをする際は周りにも考慮しながら進めていただきたいなと思っています。
*今季終了となってしまったスビンダルと共演した動画はこちら。