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すでに日本勢の結果を知っている人も大勢いるので、今回は他のニュースも交えて1つに情報をまとめたいと思います。ラインナップは記事上部の目次にあるので好きなところを見てください。
目次
安藤麻選手、2本目進出まで0.27秒
15−16アルペンスキーワールドカップ女子回転第4戦はオーストリアのリエンツで29日に行われ、フリダ・ハンスドター(スウェーデン)が優勝しました。日本勢は残念ながら3人とも2本目に進出することができませんでしたが、安藤麻選手(東洋大学)が2本目進出まであと0.27秒まできているので、今後の活躍に期待したいところです。なお、長谷川絵美選手はトップから3秒02遅れ、2本目までは0.49秒で2本目に進めず、清沢恵美子選手は途中棄権となりました。
また、前日の女子GSではグートが優勝しましたが、日本の長谷川絵美選手が22位に入りました。どちらかと言えば長谷川選手はスラローマーというより、GSのイメージが強くなってきているくらい、大回転種目で結果を出し始めています。コンスタントに30位以内をキープし、大回転種目での第1シード入りを目指してほしいなと思います。おそらく男女ともGSで第1シードに入った日本人選手は過去にいない(と思います・・・)はずですので、それだけでも快挙になるのではないかと思います。
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男子滑降第4戦はアドリアン・トー(フランス)が優勝
イタリアのサンタカテリナで29日に行われた男子滑降第4戦はアドリアン・トー(フランス)が優勝、2位がハンネス・ライヒェルト(オーストリア)、ダビド・ポワソン(フランス)が3位という結果となりました。
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動画:パラレルGS、3本制スラロームなどFIS内部で改革が始まってるのかも。
そもそもアルペンスキーはヨーロッパ人のスポーツでもあるので、彼らに有利にできている点がいくつかあります。日本勢はどうしても予算的な問題もあるので高速系レースが国内では数少ないので育ちにくいのですが、海外では技術系、高速系、オールラウンダーなど豊富な人材が育つ環境ができているので、どうしても彼らに有利な展開になりがちです。
そんな中、さらに今後2本制の技術系種目に加えようとしているのがパラレル種目でしょう。今シーズンのミュンヘンシティレースは残念ながら中止となりましたが、代わりに先日ワールドカップでパラレルGSが行われました。
まだ数的にはそこまで多くはないのですが、企画ものっぽい感じで徐々にここ数年この種目が定着し始めています。W杯ポイントも追加されるので、ますますオールラウンダー争いは面白くなるのではないかと思います。
また、国際スキー連盟はすでに3本制のシステムをヨーロッパカップで昨シーズンテストしており、徐々にですが
2本の合計タイムで競うスタイル
のウエイトが減ってくるのではないかという空気感が出てきました。
例えば今回のパラレルGSでは決勝がスビンダルVSヤンスルードという状況になり、最近GSで結果が出ていないスビンダルが決勝に進むなど「予想外」が起きるシステムをFISは導入し始めてます。3本制スラロームにしても日本勢が普段ワールドカップに出ない選手でも、準決勝寸前という状況になっており、
国際スキー連盟はいかに「番狂わせ」「公平性」をレースに持ち込むか。いかにレースをスリリングにするか?
をかなり考え、着実に実行してきているのではないでしょうか。
今のアルペンスキーはメジャーリーグ化してる。サッカーのようにワールドスタンダードになれるか?
ただ、アルペンスキーはヨーロッパが主体であり、産業やマーケットのメインも欧州ですので、選手が勝たないといけません。ですが、一方で日本のナショナルチームのようにアジアや他の国々からも勝てる環境を用意しないと、サッカーのように本当の意味での「ワールドカップ」にならないでしょう。むしろ、今のアルペンスキーワールドカップは野球のメジャーリーグのようになっています。
「より強い選手と戦いたいならアメリカに来なさい」
というのがメジャーリーグであり、アルペンスキーも
「より強い選手と戦いたいならヨーロッパに来なさい」
という似たような構図になっています。
しかし、地球温暖化になれば場合によってはチリやニュージーランドでワールドカップを行う必要も出てきますし、資金的なリスクヘッジ、新たなマーケットの開拓もしないと国際スキー連盟は大きくならないかと思います。
スキーは世界に広まっても、アルペンスキーは広まっていない。
それが現状でしょう。基本、先進国でワールドカップが行われているのを見れば、いかにアルペンスキーワールドカップのマーケットが小さいかわかるかと思います。(毎年ほぼ同じ会場ですよね。これも彼らのブランド戦略の1つなんですけどね。)
世界に広がればそれだけFISにはお金が集まりますから、サッカーのようにワールドスタンダードなスポーツになれるか?内部でも結構意見が分かれているのではないかと勝手に想像していますが、
・3本制
・対決型
など新たなシステムの拡大が始まれば、日本人選手やアジア、アフリカや南米の選手にも大きなチャンスが巡ってきて、世界からアルペンスキーワールドカップが注目されるイベントになってくるのではないかと思います。
今後のFISの動きに注目ですね。