さて、今回のスキーが上達する練習方法はアルペンスキー競技における技術・戦術指導で有名な近藤雄一郎氏のタイムと写真から全日本スキー選手権男子SLの1ターンに特化して、どのくらいタイム差が開いているのかを簡単にこのページにまとめたいと思います。
なお、研究論文も下記に紹介しておくので、気になる人は論文に目を通してみてください。
[box05 title=”この記事はこんな人におすすめ”]
- アルペンスキーにおけるタイム差はどのように開くのかを具体的に知りたい人
- FISレース、全日本選手権、ファーイーストカップでトップとのタイム差を縮めたい人
- スラローム競技における1ターンの重要性を知りたい人
- トップ選手、中盤、順位が後ろの選手のストックワークの違いを知りたい人
- トップ選手はどこでストックをつくのかを知りたい人
目次
アルペンスキーのSL競技は1ターンで0.1秒ずつ開いていく。
photo credit: Fil.Al Blackcomb from Whistler via photopin (license)
単純計算すればわかるのですが、例えば回転競技で70旗門あって、1ターン0.1秒ずつ離されると
離される計算になります。
1本目で10秒離される選手はこれ以上となります。
タイム差が付く原因を挙げればキリがないですが、そのうちの1つに
「ストックワークや上体の使い方でだいたいほとんどの選手は0.1秒ずつ遅れてる」
ということが以下の近藤雄一郎氏の研究結果にてハッキリ出ていました。
詳しくはP5に出てるので画像と一緒に見てほしいのですが、
[jin-iconbox07]ストックワークの位置もトップ選手はターンの真ん中ではなく、ちょっと上から付いて早めのターン切り替えに対し、順位が下位の選手はターン中盤で付いている[/jin-iconbox07]
ことがよくわかります。
また、この中で
普段使用するストックとは異なる長さのストックを被験者に使用させた結果,ストックの長さ・回転のきっかけ・ターンフォームに関して違和感を感じる者が多かったことから,異なる長さのストックはエッジ切り換え時のいつものフォームに影響を及ぼしている(P2)
とも書かれており、ストックの長さも改めて考えるべきことなのかもしれません。
ストックワークをあえてSLのセットの中で普段から練習することの重要性
アルペンスキー上達方法の教科書〜約1ヶ月でGS1本目73番から9位になった練習方法〜ではストックワークの重要性について29番で書いてますが、ポールセットの中でもあえてストックを付くということを普段からやってみるのも効果的です。
そのためには少し難易度の高いセットもこなす必要性がありますが、ファーイーストカップクラスになるとすでにW杯30番以内の選手が普通に出てくる時代なので、ヨーロッパカップと遜色のないレースが日本でも行われています。(GS世界王者ミヒャエル・フォン・グリュニーゲンの息子、ノエル・フォングリュニーゲンは遠軽とかに出てましたね)
今回紹介した研究は2012年の全日本選手権男子SL1本目とかなり古い情報になりますが、今の時代もそんなに変わらないかと思います。
どんな時代も最短距離を滑ってきた人がほとんど勝っている
また、この論文の面白いところは序盤に
技術レベルが高い選手ほどポールの手前で短時間のエッジングによりスキーを回旋させ,ポール間を直線的に滑走している
と書いてあります。
皆川賢太郎さんがこのターンをすごく得意としていましたが、日本人がこれをやると靭帯に影響するリスクも高いともどこかで聞いたこともあります。(佐々木明さんは後半に走らせるのが得意でしたね)
論文が長いので、分割してブログで紹介していければなと思います。なお、近藤氏の本は書店に行くと5000円以下で販売されており、貴重なデータが手に入りますが、もう在庫もかなり無い状態なのでアマゾンでは17000円以上のプレミアが付いてます。
本も価値がありますが、まずは論文にもみなさん目を通して見てください。この論文は相当価値が高いと思いますよ。
photo credit: Skirenn i Trysil Truls Ove Karlsen – NM i Trysil via photopin (license)