今回はちょっと主観的な話になりますが、アルペンスキー技術系種目(GS・SL)における難しいセットに強い選手の特徴をちょっと書いてみたいと思います。
結論から言うと、記事後半に書いてある2点を兼ね備えた選手が難易度が高いセットになるほど力を発揮しています。
90年代ならSLはトーマス・スタンガッシンガー(オーストリア)、GSはミヒャエル・フォン・グリュニーゲン(スイス)、この記事を書いている時点の話だとGSはマルセル・ヒルシャー(オーストリア)、SLはクレモン・ノエル(フランス)といったところでしょうか。
もちろん、アルベルト・トンバ(イタリア)、ヘルマンマイヤー(オーストリア)といったパワー型の選手も結構勝つので一概には言えないのですが、
「難しいセット」
となるとやはりパワー型の選手は器用な選手に負ける傾向がある印象を受けます。(時間があれば全選手のリザルトをグラフ化したデータ表を作りたいとは思ってます。)
特にスラロームにおいてはクレモン・ノエルは90年代のトーマス・スタンガッシンガーによく似ており、クラシックレースと呼ばれる場所ではだいたいこのタイプの選手が上位に来ますし、どこのレース会場でも無難にトップ10に食い込んできます。また、昔からオーストリア選手もクラシックレースで成績を残すので、難易度が高いレースほどオーストリアチームは力を発揮する傾向が高いです。
理由として明らかにわかってるのは
〜有料部分〜
ではないかと思っています。
これが少しでもお尻が後ろ気味の選手、姿勢がちょっと低い選手(日本人選手に多い)になってしまうとノエルよりもターンが遅れていくといったことがあり、2019年のスイス・ウェンゲンで0.1秒差という結果でヒルシャーは3位になっています。また、2018−2019シーズンの最終戦であるアンドラでの男子SLではノエルが優勝、ヒルシャーが14位まで落ちており、タイム差は1秒62まで開いているわけです。
また、ヒルシャーのようにポジションが良くても、姿勢が低めの選手は緩斜面や中斜面が速くとも、
・湯沢W杯のような気温が高めのレース
・難易度が高いセット
になると途端にタイムが遅くなるといったことがしばしば見受けられます。(日本人選手は阿寒の全日本選手権で速くとも、海外ではまったく通用しないのは滑りのフォームが大いに関係していると思っています。)
事実、全盛期のヒルシャーでも日本ではまったく振るわなかったですし、2018−2019男子SL最終戦のアンドラでも斜面変化が多いせいか、1本目から1秒以上遅れるなど、気温が高いレースであまり結果が出ない傾向があります。
それでも普段のヒルシャーは速いですが、気温が高いレースで遅いということは、アンドラの映像を見てもエッジングが強く、ターンも少し長い感じもするので、それだけエッジを立てている時間が長いということになります。(エッジを使うと言うことは、ブレーキをかけている時間がそれだけ長いということです)
一方、ターンをコンパクトにまとめていくノエルが結果としてタイムが速かった印象を受けました。
ヒルシャーにしろ、ノエルにしろ得意・不得意がありますが、ノエルのような
〜有料部分〜
の2点を兼ね備えた選手は難易度が上がれば上がるほど順位が上にいく傾向が高いのでないかと思います。
[aside type=”boader”]
今回の無料版は95%を公開してみました。見返してみるとかなりいやらしいコンテンツだなーと思ってしまいましたが、キモとなる部分は有料で今後配信していきますので、気になる人はアルペンスキー上達方法の教科書〜約1ヶ月でGS1本目73番から9位になった練習方法〜をご覧ください。
なお、すでに購入済みの方はアップデート済みとなっています。3月27日分は2話追加しており、21番の成長曲線も追加として加筆していますのでそちらもご覧ください。
[/aside]
photo credit: VisitLakeland in a downhill competition via photopin (license)