今回はこちらの動画の続きを解説したいと思います。なお、技術選でもターン後半加速する技術は使うのでヒントになるかなーと思います。(1級、2級では使いません。)
ここ10年くらいでしょうか。
スキー雑誌のほとんどが技術選になって、アルペンの記事が減り
技術選の記事をそのまま鵜呑みにしてアルペンスキーをやる選手が増えた
なんて記事をネットでチラッと見たことがあります。
代表的なものを1つ挙げるとすれば、一時期あった立ち上がらない「中腰から中腰ターン」ですね。これは2015年頃だったはずで、元日本代表の方が指摘してました。(名前は伏せますが、検索すれば今でも出てきます)
基礎の世界ではこちらが点数出ても、アルペンの世界では「一旦立ち上がる方が速い」というシーンが結構多いです。(2023年時点の技術選では少しアルペン寄りになった印象がありますが)
なので、
「技術選で点数が出る=アルペンでも良い技術だ」
と勘違いする人も結構いるんじゃないかと思い、今回この動画を作成したわけです。(お手本の私がひどい滑りですけど・・・汗)
技術の違いについては上記の動画の中で書いてある通り、実演した通りですが、腰の位置をよーく見ると、アルペンのターンに切り替えても私の腰は落ちていないことがお尻の位置や影を見るとわかるかと思います。
もちろん、アルペンレースでもこれがダメなケースも多々あります。
例えば振ったポールセットはまずこんな滑りはしません。
抱え込んだまま板をたわませていく必要がありますし、急斜面で振ったポールセットならばなおさらで、場合によっては上半身をフォールラインに向けっぱなしというケースもあります。
映像の通り、中斜面や緩斜面などでは上下の動きを使った方が速く、これをわかりやすく表現している選手の1人にミカエラ・シフリンがいます。(詳しくはゾルデン女子GSをご覧ください。毎年最後の緩斜面で上下の動き使ってます)
エンドロールで私の実績を書いてますが、札幌国際スキー場での9位はこの上下の動きを使いまくった結果です。途中、真っ平らな長いコースが箇所があり、上下の動きを使うターンが得意な私は70番代からのスタートでも結果的に9位まで順位を上げたわけです。第1シードの選手たちはみんな上下の動きを使わず、空気抵抗を減らすだけのベターと滑らせる滑走方法だったので「あ、ワックスさえ合ってれば上位にいけるな」と思ったわけです。
技術選選手の中にはアルペンW杯経験者もおり、初心者からすればわかりにくい状況ですが、スタンスの問題や若干のズラしなどが基礎にはよくあり、アルペンとは違う技術を使うことがあるのが基礎スキーの世界なのです。(アルペンの場合、ズラしはオプションテクニックであり普段は使いません。スピードコントロールはブレーキなのでアルペンではほとんど使いません。)
は全く別物です。
基礎でもターン後半加速するため「抜けを良くする」と言う表現が出てきますが、アルペンとの違いは
- 基礎は自分の好きなタイミングでターンできるが、アルペンはできない。そのため、アルペンでは常に素早く動けるフォームになる。(フォールラインに向いている時間が長い)
- 技術選のような優雅に大回りというわけにいかず、アルペンはエッジングの時間が遥かに短い。エッジ=減速、つまりブレーキなのでアルペンではもっと瞬間的に強烈な圧をかける時もある。
- スキー板が縦方向に向いている時間が技術選に比べ長い。(スキーは直滑降が1番速いので。)
- 技術選(基礎スキー)の世界はシルエットが重視されるが、アルペンは全く関係なくタイムが全てであり、「タイムが速い選手=上手い」と定義される世界共通の考え。わかりやすい例として私のシルエットはひどいですが、後ろのゼッケンから荒れたコースでジャンプアップした時、順位表の掲示板の前で「この選手すげー」と他校の見知らぬ選手に言われてました・・・(苦笑)。アルペンはシルエットが最悪でも速ければ実力があるとみなされる世界なので、ここも基礎との大きな違いかなと思います。
さて、これらを頭に入れてもらった上で本題に入りますが、動画の後半で「腰で踏む」(体重を乗せる)滑りとはどんな滑りなのか?それを次の段落で解説します。
この表現をした有名な方は佐々木明選手ですが、表現にはいろいろあります。ちなみに私も腰で踏むと表現する派です。(「体重を乗せる」と表現する方もいるのでコーチによって表現が変わります。)
参照:佐々木明の流儀
技術選でもアルペンのターン後半の加速、つまり「抜け」を表現する選手がいますが、アルペンではどうやってるのか深掘り解説します。
腰で踏むのはターン後半の抜けを最大限に引き出すから。
踏むと言っても、今その場で「フン!」と言って、地面に叩きつけるような感じで靴で踏みつける動作ではないです。この時重要なのは・・・
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