スキー&ニセコ・北海道旅行記

急斜面で暴走しないスピードコントロールするスキーの滑り方。初心者、1級、2級、3級、アルペン選手別解説

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今回はショートターン、ロングターン両方に共通する急斜面でのスピードコントロールのコツを詳しく動画と画像付きで解説します。

この動画を元に急斜面で暴走しないスキーの滑り方を詳しく解説します。YouTubeのスキーテクニックチャンネルでは様々な上達する練習方法やコツを解説しています。

チャンネル登録しておくと便利です。

この記事でわかること

  1. 急斜面で暴走するのをなんとかしたい初心者、中級者、上級者の方
  2. 暴走が怖くて急斜面をなかなか滑れない方
  3. 小回り(ショートターン)、大回り(ロングターン)を急斜面で滑れるようになりたい方
  4. SAJ基礎スキー検定(バッジテスト)1級、2級対策で急斜面・中斜面での暴走を避けたい方
  5. アルペンスキーでのGS,SLの急斜面対策をしたい方

なぜスキーが暴走するのか?

これは緩斜面でも中斜面でも一緒ですが、

後傾姿勢になると誰でもどこでも暴走します。

なぜか。まずは下記の写真をご覧ください。

これはアルペン競技のダウンヒル(滑降競技)のようなクローチング姿勢ですが、選手ではない、一般のスキーヤーがしゃがむ姿勢に近い状態になると

暴走する理由
  1. コントロールが効かない
  2. スキーは前に進む(暴走していく)

こういった状況になります。

 もちろん、上記の写真のようにワールドカップやオリンピック選手たちは風の抵抗を受けないため、低い姿勢になるというのは当然なのですが、一般の人も同じことです。

間違いなくしゃがんでスキーをすると、どんなゲレンデでも100%暴走します。

そして、しゃがんだような姿勢だと、コントロールも効かないので初心者が急斜面に行くと転倒するまで止まらないといったことがよくあります。

 では、暴走しないためにはどうすれば良いか?

次に解説します。

スキーで暴走しない滑り方がこれ(画像とW杯動画あり)

これは初心者だけでなく、トップ選手たちも同じなのですが

後傾姿勢にならない腰(お尻の位置)が高いポジションを常にキープする

ということをします。

注意:ただし、プルークボーゲンで棒立ちになると逆に板が加速する時間を与えるので、ボーゲンしかできない人は八の字のまま少し立ち上がるイメージになります。

 暴走とは

「スキーが言うことを聞いてくれない」

状況ですから、コントロール不能状態というわけです。

飛行機も車も一定条件を満たせば事故につながるのと同じで、物理現象で動いているこの世界は一定エネルギーに達した場合、「物事がうまくいかない」といったことがちゃんと起きるよう設計されてます。

 では、無理のない、別の言い方をすれば

「無駄のないスキーの動き」

と言いますか、コントロールが容易なポジションとはどういった感じなのか?

それが以下の写真です。

 この写真くらいのポジションにターンとターンの間にお尻の位置を戻すことができれば、スキーが暴走することはまずないです。

なぜなら

以下の回転競技(スラローム)のようにお尻の位置が高いとコントロールしやすい

からです。

 スキーが暴走するから怖い!

と悩んでいる方は下記の滑降競技のようにお尻を少し落とした感じで滑るからです。(正確に言うと落ちてないのですが、初心者にはわかりにくいのでここでは割愛します)

 また、上記の写真の中でも書いてますが、アルペンの滑降競技と真逆の位置にある回転競技がレースの中で1番直立に近い状況で滑る理由は、1番操作しやすいポジションだからです。

実際にレースをスローまたは一時停止で見ると、ターンとターンの間で棒立ちに近い状態で滑っているのがよくわかるかと思います。

一方、アルペン競技最速のダウンヒル(滑降)種目は、回転種目に比べお尻の位置が高くないのが一目瞭然です。

 旗門がたくさんある回転競技は何回もターンをしないといけないので、コントロールが効くフォームになってないと滑れないわけです。

 逆に滑降競技はできるだけ直線的、最短距離の直滑降のように滑っていくので、棒立ちになることはないわけです。

 「スキーの急斜面が暴走して怖い」

と思う方は滑降競技のような低い姿勢で滑ってるケースがほとんどです。

なので、スピードが出て当たり前なのです。

重要なのは

「きちんとスピードコントロールすること」。

では、具体的に姿勢(フォーム)がわかったところで、次はスピードコントロールを実際にどのようにやるのか?を解説します。

スピードコントロールする急斜面の滑り方

ここからはレベル別に解説していきます。

スキー初心者・中級者が急斜面をラクに滑るコツ

一般の人でゲレンデを滑る際に最もスムーズで安全に滑る方法は

ポイント
  • スキー板のテール(後ろ)をズラす(雪煙を上げるような滑り方)

が基本になってきます。

上記の動画を写真にするとこんな感じです。

 基礎スキー検定(バッジテスト)でいう3級、2級の滑り方に近いです。

  これだと体力の消耗も少なく、スピードも出ません。

一方、プルークボーゲンで急斜面を滑る人は体重が外側の足にかかってしまうので、太ももの筋肉がプルプルしてくるはずです。なので、せめてシュテムターンだけでも覚えてから急斜面に挑戦してほしいなと思います。

 普段からレッグプレスやスクワットをやってる方や小学生は割と平気かと思いますが、大人がやると体重も多くなるので、何も知らずにボーゲンだけで挑戦すると結構タフなスキーになると思います。

動画の通り、急斜面はスキーを横にしても重力で下に落ちていくので、この落下の仕組みを活かす方が初心者には安全な滑り方と言えるでしょう。

ただ、条件として

「足を揃えて滑れること」

が最低限必要になるので、シュテムターンまたは下記の動画でパラレルターンをマスターしておくとスキーをもっと楽に楽しめるようになるので、ぜひ習得してみて下さい。

この練習方法なら早い人で1日、数回の練習で足を揃えて滑ることができるかと思います。

デラパージュとは?初心者がどうしてもいきなり急斜面に挑戦したい人は横滑りを覚えるとラクに簡単に下山できます。

急斜面は春のザクザク雪でなければスキー板を横にするだけで下に降りていくことができます。別名、デラパージュ(フランス語)と言い、アルペンスキー選手ではコースインスペクション(レース前の下見)の時などに必ず使わなければいけない技術です。

もし、プルークボーゲンしかできない状態で、どうしても山の天辺から滑りたい!けど、安全に下山したいという方はデラパージュという横滑りの技術をお勧めします。

 緩斜面は滑れる、けど急斜面は滑れないという人も非常に多いかと思います。

でもスキーの醍醐味の1つである景色は楽しみたい。そういった方はデラパージュという横滑りを覚えるだけでも楽しみは一気に広がります。

 足を揃える必要はありますが、ターンが不要で下山できるので初心者はこの技術を学ぶと良いでしょう。

やり方は以下の通りです。

デラパージュ(横滑り)のコツ
  1. 利き足の方を外足(谷側)、斜面の下の方にし、
  2. 若干斜面の下の方の足に体重を乗せ
  3. エッジを立てるだけ(スキー板をちょっとだけ傾ける。角付けとも言います)

これだけでスキー板は下に進んでくれます。

 ただし問題点もあるので注意が必要です。

もし、万が一転倒した場合アイスバーンだと一気にゲレンデの下まで流されるので、ボーゲンなどで止まる準備だけはしておきましょう。

重要:スキー初心者が急斜面に来る前に知っておくべきこと。転倒したらどんな問題が発生するかきちんと知る。

また、ゲレンデに人が沢山いてぶつかりそうな場合は、スピードが遅い場合、最悪あえて雪山に突っ込んで回避する方法もありますが、このくらいの危険性があるのであれば急斜面は断念した方が後々自分や相手方とのトラブルにならないので避けるべきです。

 また、止まることができない方はきちんとスキースクールなどに行って習うことをお勧めしますが、自信のない人は必ず誰もいない状況または人の少ないゲレンデで滑ることを強くお勧めします。

急斜面で転倒したり、バランスを崩した場合はまず初心者はコントロールできず、ゲレンデの下まで流される可能性があるので、緩斜面できちんと技術を磨いてから頂上付近に登って下さい。

そして、「技術がない=自分も相手も怪我のリスク当然上がる」ということを理解した上で急斜面を滑る覚悟を持って下さい。

上達するということは、ただ自分が上手くなるだけでなく、相手も怪我をさせないためにあります。

基礎スキー検定(バッジテスト1級、2級、3級編)受験予定の方が暴走しない練習方法

1級や2級、3級の検定を中心に見ていくと、暴走する原因の多くが

暴走の原因
  1. ストックの使い方ができていない
  2. 1番ができない結果、ターンのタイミングもバラバラでターン弧もバラバラ
  3. 1番と連動しきちんとした外足荷重ができていなく、ターン弧もまばら
  4. 後傾姿勢なので、雪面に対しグリップが効いていない(雪に負ける感じ)

という印象を受けました。

1つ1つ解説していきます。

バッジテスト不合格者の特徴1:腰のポジションが悪く外足荷重ができていない

スキーは腰高のポジションが最重要ということはスキー上達方法とコツで最初の方に書いてるので、サブスク会員の方は皆さんご存知かと思います。

そして腰高のポジションプラス、基礎となるのは

「外足荷重」

をマスターすることでしょう。

 検定試験などでたまに暴走してターン弧が妙に膨らんでしまう方、バランスが悪い方などはこの外足荷重がそもそもできていないという点が挙げられます。

もし、外足荷重ができないという方でしたら、下記の練習方法をお勧めします。

外足荷重の練習方法
  1. パラレルターンする時に内足を少し上げて、無理やり外足1本で曲がる(1番ポピュラーな練習方法の1つ)
  2. 下記の動画のようにプルークボーゲンで何度も低速で練習する。
  3. 小回り、大回りともにズラしを取り入れ、リズミカルにターンしていく。この際、きちんとターンする直前にストックをつくこと。(下記動画参照)なお、1級の「パラレルターン大回り」ではズラすというより、1本のターン弧を外足でシュプールを描いていかないと合格は厳しいので1級と2級で技術を使い分けて下さい。(2級は「基礎パラレルターン大回り」です)
動画後半の急斜面を滑る際にスキー板をあえて横にズラして滑ってるのがわかります。

バッジテスト不合格者の特徴2:ストックの使い方がそもそもできていない

これは1級、2級、3級不合格者にとにかく圧倒的に多いのですが、

「ストックの使い方」

が全くできていません。

 ストックを使うと

  • 体がフォールライン(下記動画参照)に向いてくれ
  • ラクに曲がることができ、
  • 綺麗なターン弧を描きやすい

といったメリットがあります。

*フォールラインって何?と思う人はこちらをご覧ください。

動画ではスキーのターン後半を加速させる方法の解説をしてますが、上半身を矢印方向に向けるとラクにターンが可能になります。主にアルペンスキー競技の技術系種目(大回転・回転)でメインに使うテクニックの1つです。

ストックをきちんと突くことができるようになるとターン全体の精度が上がり、特にバッジテスト合格者に多い特徴の1つなので、徹底的に練習することをおすすめします。

 具体的なストックの練習方法としては

  • 緩斜面で板を揃えてスキーの先端(トップ)とビンディング(金具)の間をひたすら突きながら、ゲレンデを斜めに横断する。ターンして曲がったらまたゲレンデの端まで斜めに横断し、ひたすらストックを右手・左手交互に交互に突いて練習する。
  • 足を揃えて滑れない人はプルークボーゲンで曲がる際に、スキー板の先端とビンディングの間でストックをひたすら突く練習をする

こういったやり方があります。

*プルークボーゲンでのストックの突き方はこんな感じです。

腰の位置、ストックの使い方、外足荷重。

この3つを重点的に普段から練習すると合格の確率がグッと上がるかと思いますので、ぜひスキーテクニックチャンネルなどを参考にしてもらえればと思います。

上級者向け。高速時の急斜面での暴走を止める滑り方

テクニカル・クラウンプライズ受験予定で暴走しない滑り方

このレベルになるともう暴走なんてしないでしょうが、あえて何点か語るとすれば

  1. 小回りする際、カービングでどんどん加速していくので、ストックワークと上半身のフォールライン練習を徹底し、精度の高いターン後半の抜けを意識する。
  2. 雪や天候によるコンディションの悪化に備え、リカバリーしやすいセンターポジションに腰の位置を常にキープできるよう、悪条件の中での小回り、大回り、不整地での練習を徹底する。

この2つの練習は必須です。

 アルペンでも悪条件にしてあえて練習することがあるので、いかに悪条件でも安定した滑りができるかも上級者には求められるので、この辺を意識して滑ると良いと思います。

アルペンスキー選手が急斜面で暴走しないための練習方法

アルペンスキーの場合、そもそもスピードを出さないといけないのですが、暴走するケースはいくつかあるので、まずは代表的なものを挙げてみます。

  1. 後傾姿勢から発生するスキーの暴走
  2. 外足荷重しすぎのパターン
  3. ターン弧が直線的過ぎる

この3つが原因で次のポールに入れないといった問題がよく見受けられます。

 1つ1つ解説します。

後傾姿勢でコントロール不能になる選手

急斜面に限らず、急斜面から緩斜面でポールの振り幅が直線的になった時によく見たことがありますが、

急にお尻の位置が下がって、ターン後半の加速を生み出そうとしすぎて失敗する

なんていう選手がいました。

 特にゼッケンが後ろの選手はコースが掘れていたり、ガタガタの場合があるので、後傾姿勢になった途端に操作できなくなるといったことがあります。

 第1シードの選手たちがやったとしても、後ろの選手が同じことをやるとコース外に飛ばされることもあるので、腰高のポジションはきちんと維持すべきでしょう。

外足荷重しすぎて、コントロール不能になるパターン

これは次の直線的と若干違うパターンになりますが、肩を平行にせず、外足の方に肩を下げて推進力を発生した結果、次のターンの解放時にバランスを崩すという選手がいます。(外足荷重しすぎて雪面からの反発力で飛ばされるケース)

 特に急斜面はポールセット幅がキツくなることがほとんどですから、次のポールに入れないということはトップレベルの選手でも見受けられます。

急斜面はあまりトップとタイム差がつかない箇所でもあるので、雪面状況にもよりますが、トップを噛ませて、次のターンを上から入っていくイメージの方が急斜面でラインが落とされないので、スキーの先端の使い方を修正してみることをお勧めします。

ターンが直線的な選手はそもそも急斜面は無理

とは言え、アルペン競技はギリギリのラインで攻めなければいけないですが、攻めどころと守りどころは必ずポールセッターは仕掛けるので、時には守ることがタイムを伸ばすというケースがあります。

 特に直線的なセットが得意な選手ほど、急斜面から緩斜面のつなぎの部分で真っ直ぐになり過ぎてタイムロスになる選手が結構多いので、丸い弧でもタイムが出るような練習は必須かと思います。

2017年頃、不調だった湯浅直樹さんが「直線的な滑りをあえて止めた」と言ってましたが、これが結果的にW杯SL20番前後まで順位を戻したことにつながってます。欧州人中心のスキー競技は当然欧州人に有利なポールセットが立つので、こういったことに対応していかないと日本人はなかなか世界で通用しないかなと感じています。セットだけではないんですけどね。

急斜面でスキーを暴走しないために必要なポイントまとめ

さて、最後になりますがスキーで暴走しないスピードコントロールのまとめをします。

ポイントは以下の通りです。

  1. プルークボーゲンしかできない人はきちんとした止まる技術と横滑りを覚えてから急斜面にトライする。また、止まれないのであれば上手くなるまで急斜面にいかないこと。理由はあなただけでなく、他人を怪我させる可能性が高いため。
  2. 足を揃えて滑れる人は横滑り、ズラす滑り方、ストックの使い方、外足荷重を覚えるともっと楽に急斜面を滑れる。
  3. 検定試験を受ける人は外足荷重できちんとズラす技術を使って暴走しない滑り方を身につける。また、リズミカルに滑れる、綺麗な1本のシュプールを描けるようにする。

こういった滑り方をきちんとマスターできれば大体のゲレンデはラクに滑れるようになり、1日当たりの滑走距離も伸びてくるので、リフト券代の元も簡単に取れるかなと思います。

 今回紹介したスキーの練習方法で暴走しない滑り方をマスターして、より楽しいスキーライフとなれば幸いです。

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