photo credit: _dChris Skiweltcupopening 2013 in Sölden via photopin (license)
FISアルペンスキーワールドカップ2019−2020が女子大回転で開幕しました。今回はこの女子GSの動画を交えて他のニュースサイトとは違って技術的な話を交えて深掘りしつつ、男子GSについても書いてます。
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目次
17歳のアリス・ロビンソンはなぜ勝てたのか?女子GSリザルト、日本勢の結果
photo credit: /kallu Alps’07 via photopin (license)
2019−2020アルペンスキーワールドカップ女子GS第1線は26日、オーストリアのゾルデン(セルデン・ゾールデン)で開幕し、17歳のアリス・ロビンソンがミカエラ・シフリンに0.06秒差で競り勝ちワールドカップ初優勝を飾りました。
日本からは3名が出場し、
42位 安藤麻(日清医療食品)1分11秒39
53位 荒井美桜(サンミリオンク)
57位 向川桜子(秋田ゼロックス)
という結果に終わり、2本目に進むことはできませんでした。ただ、荒井選手は昨年の8秒差から4秒56まで縮めているので、今後30位以内に入っていく可能性もあり、他の選手も同様、日本女子チームの成長はまだまだあるのかなと思います。
2019ゾルデン女子GS動画から見る17歳アリス・ロビンソンの滑り。なぜシフリンに勝てたのか?
まず2019ゾルデン女子大回転の動画がユーチューブにあったので、気になる人は下記からどうぞ。
さて、なぜアリス・ロビンソンがシフリンに勝ったのか?という話ですが、大きな点を挙げれば
そんな滑りでした。
特に2本目の急斜面に入って6旗門目(タイムが1分46秒のところの青のフラッグでの左ターン)でかなりスキー板が走っており、肩のラインも平行で上半身がかなり強化されているのではないかという印象がありました。
もちろん他のスキー選手同様、バランスを崩す場面もありますが、それでもスキー板の横ズレを最小限に止めているのはスキーテクニックというよりも夏場のフィジカル強化の影響が大きいのではないかと思われます。
また、下記のスキー板の契約先であるフォルクルの公式フェイスックにあるアリス・ロビンソンの写真を見ても分かる通り、次のターンを早めようと内側に体重移動しつつも外脚にきちんと荷重されているのがよくわかります。普通の選手なら内倒しがちなところですが、彼女は体幹とバランス能力も高いのか、多少荒れたバーンでもターン後半に雪面からくる反発力を次のターンにつなげており、結果、上記で説明した急斜面での6旗門目のような加速するターンができているのではないかと思います。
当たり前の話ですが、「スキー板はターン前半から踏め」とはよく言われますが、力を1番受けるのはターン後半です。というか、技術選の井山敬介選手も動画で語っていましたが、これはアルペンスキーも一緒で、落下していくスポーツである以上、最もエネルギーが得られるのはターン後半なのです。(そもそもターン前半からエネルギーはほとんど得られない。ターン前半からを意識するのはラインが落とされないようにするため)
また、彼女は他の選手とは違い、外脚に乗りすぎないようにしている意識がかなり強かった印象を受けました。
アリス・ロビンソンは2019アルペンスキー世界選手権女子GS2本目でラップを取って(結果17位)有名になりましたが、昨シーズンあたりからGSで急成長を遂げてきています。日本だとまだインターハイで「高校生の中での1位」を争う時期ですが、海外では高校生の段階でワールドカップレベルに仕上がっている選手を輩出する状況になっており、日本と海外の差はますます今後広がるのではないかと危機感を抱いています。
ただ、シフリンも0.06秒差の2位。決して悪い状況ではないので、今シーズンもきちんと仕上げてきているなといった印象を受けました。以下は2019ゾルデン女子GSのリザルトです。
2019ゾルデン女子GSリザルト
1 9 415232 ROBINSON Alice 2001 NZL 1:08.03 (2) 1:09.33 (14) 2:17.36 0.00 Voelkl
2 4 6535237 SHIFFRIN Mikaela 1995 USA 1:07.89 (1) 1:09.53 (18) 2:17.42 0.06 0.44 Atomic
3 3 196928 WORLEY Tessa 1989 FRA 1:09.13 (6) 1:08.59 (4) 2:17.72 0.36 2.65 Rossignol
4 19 426100 HOLTMANN Mina Fuerst 1995 NOR 1:08.95 (5) 1:09.26 (13) 2:18.21 0.85 6.25 Voelkl
5 6 297601 BRIGNONE Federica 1990 ITA 1:08.75 (3) 1:09.48 (16) 2:18.23 0.87 6.40 Rossignol
6 58 426043 TVIBERG Maria Therese 1994 NOR 1:10.43 (26) 1:07.96 (1) 2:18.39 1.03 7.57 Head
7 37 56392 GRITSCH Franziska 1997 AUT 1:10.55 (28) 1:08.22 (2) 2:18.77 1.41 10.37 Head
8 24 516138 GUT-BEHRAMI Lara 1991 SUI 1:09.97 (15) 1:08.85 (7) 2:18.82 1.46 10.74 Head
9 16 516284 GISIN Michelle 1993 SUI 1:10.00 (16) 1:08.83 (5) 2:18.83 1.47 10.81 Rossignol
10 31 56087 SIEBENHOFER Ramona 1991 AUT 1:10.49 (27) 1:08.37 (3) 2:18.86 1.50 11.03 Fischer
11 21 565373 ROBNIK Tina 1991 SLO 1:10.08 (20) 1:08.83 (5) 2:18.91 1.55 11.40 Voelkl
12 7 299276 BASSINO Marta 1996 ITA 1:09.93 (13) 1:09.09 (10) 2:19.02 1.66 12.21 Salomon
13 5 205218 REBENSBURG Viktoria 1989 GER 1:09.76 (10) 1:09.33 (14) 2:19.09 1.73 12.72 Stoeckli
14 1 705423 VLHOVA Petra 1995 SVK 1:09.36 (7) 1:09.78 (22) 2:19.14 1.78 13.09 Rossignol
15 2 516280 HOLDENER Wendy 1993 SUI 1:09.96 (14) 1:09.25 (12) 2:19.21 1.85 13.60 Head
16 22 516283 ELLENBERGER Andrea 1993 SUI 1:10.24 (21) 1:09.01 (8) 2:19.25 1.89 13.90 Stoeckli
17 15 506399 HECTOR Sara 1992 SWE 1:09.82 (11) 1:09.53 (18) 2:19.35 1.99 14.63 Head
18 39 206355 DUERR Lena 1991 GER 1:10.39 (24) 1:09.04 (9) 2:19.43 2.07 15.22 Head
19 18 56315 TRUPPE Katharina 1996 AUT 1:10.05 (19) 1:09.62 (20) 2:19.67 2.31 16.99 Fischer
20 13 426193 STJERNESUND Thea Louise 1996 NOR 1:09.55 (8) 1:10.23 (26) 2:19.78 2.42 17.79 Rossignol
21 33 6535773 O BRIEN Nina 1997 USA 1:10.32 (22) 1:09.52 (17) 2:19.84 2.48 18.24 Rossignol
21 25 296509 CURTONI Irene 1985 ITA 1:10.02 (18) 1:09.82 (23) 2:19.84 2.48 18.24 Rossignol
23 36 565401 BUCIK Ana 1993 SLO 1:10.00 (16) 1:09.95 (25) 2:19.95 2.59 19.04 Salomon
24 46 299383 MELESI Roberta 1996 ITA 1:10.81 (29) 1:09.20 (11) 2:20.01 2.65 19.49 Dynastar
25 14 55898 BREM Eva-Maria 1988 AUT 1:10.41 (25) 1:09.73 (21) 2:20.14 2.78 20.44 Atomic
26 26 297702 MARSAGLIA Francesca 1990 ITA 1:09.73 (9) 1:10.42 (27) 2:20.15 2.79 20.51 Salomon
27 29 225525 TILLEY Alex 1993 GBR 1:10.86 (30) 1:09.91 (24) 2:20.77 3.41 25.07 Dynastar
28 11 56174 HAASER Ricarda 1993 AUT 1:10.35 (23) 1:14.81 (28) 2:25.16 7.80 57.35 Atomic日本勢:(1本目)
42位 安藤麻(日清医療食品)1分11秒39
53位 荒井美桜(サンミリオンク)
57位 向川桜子(秋田ゼロックス)
2019ゾルデン男子GSスタートリスト。加藤 聖五選手は55番スタート
photo credit: _dChris Skiweltcup Opening in Sölden via photopin (license)
さて、女子に引き続き27日は男子の開幕戦となります。
ヒルシャーがいなくなったあとのワールドカップとなりますが、果たしてどんなシーズンになるのか?以下は男子のスタートリストと日本勢のゼッケンです。
*全選手のスタートリストはこちら
おそらく今後ワールドカップリーダーになるであろうヘンリック・クリストファーセンが1番となっています。GSでもヒルシャーがいた時代でもナンバー2レベルまで上がってきてるので、今シーズンGSでも本格的に勝っていく可能性は十分あるのではないかと思います。
なお、J-SPORTSでは生放送もあるので、最後に放送日程も添えておきます。
J-SPORTS2019ゾルデン男子GS放送時間・日程
番組は悪天候による中止などで変更となる可能性があるので、詳しくは公式サイトをご覧ください。
放送日:2019年10月27日(日)
放送時間:午後 5時 45分~午後 11時 00分(生放送)
解説:吉岡大輔 実況:吉田暁央再放送:
放送日:2019年10月28日(月)
放送時間:午前 9時 30分~午後 0時 30分
J-SPORTS 211/1:午後8:00~午後11:00 (J-SPORTS 4)
11/2:午前4:00~午前7:00(J-SPORTS1)
11/14:午後6:00~午後9:00 (J-SPORTS 2)
11/24:午前7:20~午前10:20(J-SPORTS 2)